印鑑の中でも、人生の節目において重要な役割を持つのが「実印」です。
実印は契約書などの重要書類に使用する印鑑のため、押し間違えないことが前提ですが、うっかり失敗してしまうこともあるでしょう。
このページでは、実印を押し間違えた・失敗したときの訂正方法について解説しています。

パターン別に画像付きで説明していますので、ぜひ参考にしてください。

実印の押し間違い

実印は他の印鑑と違い、印鑑登録をして使用するため、発行された印鑑証明にある印影と、押した印影が照合できないと効力を持ちません。
不動産の購入など、人生の節目に登場する印鑑ですから、大事な契約書への捺印時に、万が一押し間違えたら不安で仕方ないことでしょう。
こちらでは、「かすれた」「にじんだ」だけでなく、「印鑑を間違えた」「押す場所が違った」など、実印の押し間違いのケースごとに訂正方法を解説します。

「かすれ」や「にじみ」は少しコツを掴めば回避することができます。
実印だけでなく、印鑑全般を綺麗に捺印する方法を解説しています。

押す場所を間違えた

実印の捺印時に意外と多いのが、「押す場所の間違い」です。
契約書などに複数人の押印が必要な時、自分の場所ではなく相手の場所に押してしまったなど。

修正方法

自分が押すべき所ではない場所に実印を押してしまった状態

まず、間違えて捺してしまった印影に対し、打ち消しの意味で二重線を引きます。

間違えた印鑑を「訂正(修正)」の意味で、間違えた印影に被せて、訂正印として押印します(その時、両方の印影がある程度見えるように少しずらしておきましょう)

その後、正しい実印を今度は間違いなく正しい場所に押印し直しましょう。これで「実印を押す場所を間違えたが、それは修正し、正しい場所に実印を押し直しました。」となります。

押す印鑑を間違えた

「実印として登録している印鑑でないものを押してしまった」など、押す印鑑自体を間違えてしまうこともあります。既に印鑑は押された状態なので、押し間違えた印鑑を打ち消し、新たに実印を捺印しましょう。

修正方法

実印と間違えて、認印を押してしまった状態。

まず、間違えて捺してしまった印影に対し、打ち消しの意味で二重線を引きます。

間違えた印鑑を「訂正(修正)」の意味で、間違えた印影に被せて、訂正印として押印します(その時、両方の印影がある程度見えるように少しずらしておきましょう)

その後、正しい実印を横に押印し直しましょう。これで「印鑑を間違えたが、それは修正し、正しく実印を押しました。」となります。

補足:二重線だけではいけないのか?

二重線で打ち消しただけ修正が一般的ではありますが、誰でも書き足せる二重線のみだと「誰が訂正したのか」がわかりません。実印が用いられるような場面では、よりセキュリティの高い、間違えた印鑑を訂正印として、再度被せて捺印する方法を推奨しております。

しっかりと押せなかった

実印は登録して発行した印鑑証明にある印影と照合できなければ効力を持ちません。
「印影が一部しかでなかった」「かすんでしまった、にじんでしまった」など、実印としての効力を持つ完全な印影を残せなかった状態の訂正方法を解説します。

「かすれ」や「にじみ」は少しコツを掴めば回避することができます。実印だけでなく、印鑑全般を綺麗に捺印する方法を解説しています。

修正方法

実印を押したが、かすれて全体が把握できない場合

かすれた印影を二重線で取り消し、横に再度正しく捺印し直せば完了です。

補足:印鑑の失敗はどこまでなら許容範囲?

どこにも届出していない印鑑(認印)の場合は、多少のかすれやにじみ、傾き程度はおおむね許容されます。
理由としては、認印は印影の鮮明さよりも印鑑を押す行為自体に効力があるからです。
書類に印鑑を押すことで「本人の意思を確認した」ことになりますので、きれいに捺印できなかったとしても、文字が読み取れればそれほど問題にはなりません。
実印の場合は印鑑証明との照合が必要になるため、全体が把握できない印影は効力を持ちません。

押す向きを間違えた

印鑑の捺印時によくあるのが「逆さまに押してしまった」など、印影の向きの問題です。実は実印の場合、印鑑証明にある印影との照合さえできれば効力を持つので、ずれ、逆さまなどは問題ありません。とはいえ、逆さまの間違いは恥ずかしいという方もいらっしゃると思います。
押す向きを間違えた時の訂正方法を解説します。

修正方法

実印を間違えて、逆さまに押してしまった状態。

まず、間違えて捺してしまった印影に対し、打ち消しの意味で二重線を引きます。

「訂正(修正)」の意味で、間違えた印影に被せて、訂正印としてもう一度押印します(その時、どちらの印影も完全な効力を持たないよう被せて押しましょう)

その後、正しく実印を押印し直しましょう。これで、実印を押したが逆さまだったので、それは修正し、正しく実印を押し直しました。となります。

補足:実印の上下を間違いないための工夫

本来実印は「押す前にちゃんと再確認する」の意を込めて、上下を簡単に分かるようにする「アタリ」を付けません。
しかしこれは風習のようなもので、付けてはいけないわけではありません。
押し間違いを防ぐためにも、容易に上下が分かる「アタリ」を検討してはいかがでしょうか。
ハンコヤドットコムでは43種類の中から好きなアタリを選択することができます。

やってはいけない実印の訂正方法

実印は高い法的効力を持つ印鑑です。
契約書などの重要書類で使用されるため、訂正もセキュリティ性の高い方法で行う必要があります。
こちらでは、適切ではない(推奨できない)訂正方法をいくつかご紹介します。

二重線のみで訂正する

一般的に最も用いられている訂正方法です。もちろんこれだけでも訂正は可能です。

しかし、実印は認印などの印鑑と違い、間違いがあってはならない契約書に捺すものです。そのため、訂正したい印影にまず二重線を引き、そこから少しずらした位置に印鑑を押し直すことで、「誰が訂正したのかがわかる状態」にします。

上から完全に被せるように押し直す

これは無意味に等しい行為です。人間は機械ではないので、完全に重ねて押し直して綺麗な印影を残せることは殆どありません。
実印は印影の照合が完全にできないと、全く効力がありません。結局訂正の必要があって二度手間になる事が目に見えていますので、横着せずに正しく訂正しましょう。

横に改めて捺印するだけ

不完全でも印影が残ると「何か意味があるのか」と推察され、契約などの処理が遅れるかもしれません。
ただ押し直すのではなく、間違えた捺印はしっかりと「打ち消し」ておくと、誤解を生みません。

訂正印での訂正ではいけないのか

最後に、「訂正するのだから、訂正印を使えば良いのでは?」という疑問にお答えします。

訂正印とは

「訂正印」という言葉には実は2つの意味があります。

  1. 訂正箇所への押印に特化した、小さいサイズの印鑑
  2. 訂正する時に、訂正した人を特定するために押された印影

一般的には1つめの意味で使われる事が多いため誤解を生んでしまうのですが、実印を使用するような重要書類には向いていません。重要書類を訂正するときは、その書類に押した印鑑と同じ印鑑で訂正するのが正式な方法です。

実印を使用していない重要書類以外での訂正を行う場合には、訂正印があると便利です。

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「ハンコの押し方」としての訂正印について詳しくはこちら

実印を訂正印として使うケース

契約書など実印が必要な書類の場合は、第三者が介入した可能性を極力排除するために、訂正印であっても個人が特定できるものであることが理想です。そういった重要書類には、訂正印にも実印を使用するのがセキュリティ性と効力を両立させる最適な方法であると言えます。