年末調整書類に訂正印は必要?書き間違えたときの訂正方法を解説
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「年末調整書類を訂正した際に訂正印を押す必要はある?」
「年末調整書類の正しい訂正方法について知りたい」
年末調整とは、毎月の給与や賞与から概算で源泉徴収した所得税額を精算する手続きのことです。
申告に必要な書類はいずれも複雑かつ記入欄の多い様式をしているため、慎重に記入していてもうっかり書き間違えてしまうことはあるでしょう。
本記事では、年末調整書類を書き間違えたときの訂正方法と、訂正印の必要性について解説しています。
年末調整は、その年の1月1日から12月31日の間に支払われた給与が対象となるため、一般的には10月末から12月下旬にかけて実施されます。
対象の従業員は、上記期間中に勤務先から配布される年末調整書類(下記参照)に必要事項を記入し、添付書類と合わせて提出します。
- 年末調整に必要な書類
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- その他 添付書類(※該当者のみ、年末調整書類と合わせて提出が必要)
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 小規模企業共済等掛金払込証明書
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 住宅借入金等特別控除申告書
- 前職の源泉徴収票
原則として、年末調整書類に訂正印は不要
原則として、年末調整書類に訂正印を押す必要はありません。
理由は、令和3年度の税制改正によって税務関係書類における押印義務の見直しが行われたためです。
1 国税に関する法令に基づき税務署長等に提出される申告書等(税務関係書類)については、これまで提出者等の押印をしなければならないこととされていましたが、
令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降、次に掲げるものを除いて、押印を要しないこととされました。
(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類(具体的には別紙1(PDF/150KB)をご覧ください。)
(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類(具体的には別紙2(PDF/154KB)をご覧ください。)
この法令により、扶養控除等申告書など年末調整に使用する書類への押印は原則不要となりました。
訂正を加えた際に押す訂正印についても法令上の定めはなく、要否は個人の判断または自社のルールに従う形になります。
1 税務関係書類における押印義務の改正
税務署長等に提出する源泉所得税関係書類について、押印を要しないこととされました。
このため、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使用する書類についても、従業員等に押印をしていただく必要はありません。
任意で訂正印を押しても問題ない
押印には、本人の意思を証明する役割があります。
原則、年末調整書類に押印義務はありませんが、訂正印を押すことにより提出者本人が訂正を加えたという証明になります。
本人による訂正であると示したい場合や、第三者からの改ざんが心配な場合は、任意で訂正印を押しておくと安心です。
【パターン別】年末調整書類を書き間違えたときの訂正方法
年末調整書類を書き間違えた際は、訂正する箇所にボールペン(消えるボールペンはNG)で二重線を引き、上部または下部の余白に正しい内容を記載しましょう。
下記では基本の訂正方法(二重線のみ)と、基本の方法に任意で訂正印を加えたい場合の押し方について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
① 訂正印を押さない場合の訂正方法(二重線のみ)
以下は、基本の訂正方法になります。
STEP1. 間違えた箇所に二重線を引きます。
STEP 2. 二重線の上部(書くスペースがない場合は下部)に、正しい内容を記載します。
二重線を引く際は必ず、訂正前の内容を残した状態にしましょう。
塗りつぶして読めない状態にするのはNGです。
② 訂正印を押す場合の訂正方法(二重線+訂正印)
以下は、基本の訂正方法に訂正印を加えた方法になります。
STEP 1. 間違えた箇所に二重線を引きます。
STEP 2. 二重線の上部(書くスペースがない場合は下部)に、正しい内容を記載します。
STEP 3. 二重線に重ねる形、もしくは訂正箇所の近くに訂正印を押します。
金額を修正・訂正する場合は、「二重線+訂正印」がおすすめ
収入金額や所得金額などを書き間違えた場合は、② 訂正印を押す場合の訂正方法(二重線+訂正印)がおすすめです。
基本の訂正方法(二重線のみ)でも構いませんが、その場合は本人の訂正の跡が残らず、第三者に不正に数字を書き換えられるリスクがあります。
そのため、金額などの重要箇所を修正・訂正する場合は、改ざん防止と本人の意思表示を担う訂正印を押しておきましょう。
その他の訂正方法について
- 訂正内容の詳細を記載したい
- 脱字をしてしまった
- 同じ文字を2回書いてしまった
など、その他の訂正方法については、下記のリンク先をご覧ください。
【比較表でわかる】訂正印を押すときに使うハンコの種類
年末調整書類に訂正印を押す場合は、市区町村の役所や銀行などに登録していない「認印」(朱肉を使う印鑑)を使用するのが一般的です。
なお、認印ではサイズが大きくて訂正箇所に押しにくい場合は、訂正専用のハンコとして販売されている6mm~6.5mmサイズの訂正印がおすすめです。
この訂正印は、帳簿や伝票などの小さいスペースにも押せるように作られているため、訂正箇所以外の部分に印影※が重なる心配もありません。
※印影:ハンコを押したときに紙に残る朱肉の跡
認印 | 訂正印 | |
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見た目・印影 |
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定義 | 幅広い書類に使用できる汎用性の高いハンコ (訂正印としても使用可能) |
文書の一部に修正・訂正を加えた際に押すハンコ (確認サインの代わりや、小さな認印としても使用可能) |
印面サイズ | 13.5mm、12.0.mm、10.5mm | 6mm(円形)、6.5mm(楕円・小判型) |
材質 | 木材、動物の角、金属など | 木材、動物の角、金属など |
押印時に使用するもの | 朱肉、捺印マット(なくてもOK) | 朱肉、捺印マット(なくてもOK) |
年末調整書類の訂正にまつわるよくある質問
- 訂正印にシャチハタを使用してもよいですか?
- シャチハタは回覧や宅配便の受け取りなど、簡易的なチェックで使用するハンコのため、一般的には会社への提出書類には適さないとされています。
しかし、社内規定は組織ごとに異なるため、会社によってはシャチハタの使用を認めているケースもあります。
シャチハタを訂正印として使用したい場合は、提出前に担当者へ確認を取るのがよいでしょう。
- 訂正箇所が複数あります。書面が訂正印だらけになっても問題ないですか?
- 複数箇所に訂正印を押しても問題ありません。
しかし、訂正箇所が多いとその分内容も読みづらくなります。
書面の見栄えや読みにくさが気になる場合は、担当者から新しい用紙をもらって書き直すことをおすすめします。
- 年末調整書類の氏名欄に認印を押しています。訂正印も同じ印鑑を使用してよいですか?
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書類を修正・訂正するときは、その書類に押した印鑑と同じものを使用するのが正式な方法です。
そのため、氏名欄などに認印を押印している場合は、同じ印鑑を訂正印として使用するのが適切でしょう。※令和3年度の税制改正にて押印義務が廃止されたことにより、現在の申告書フォーマットに押印欄はありません。
(氏名欄などに任意で押印することは可能)
- 訂正印をキレイに押せませんでした。押し直す必要はありますか?
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本人が訂正を行ったことを証明できればよいので、多少のかすれやにじみ、傾き程度は許容されるケースがほとんどです。
なお、下記のページにてキレイな印影を押すコツを解説していますので、ぜひ参考にしてください。