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- 戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?読み方や使い分けをわかりやすく解説
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「戸籍謄本と戸籍抄本って、どう違うの?」
「どちらを出せばいいかわからなくて不安…」
戸籍謄本・戸籍抄本について、こんな疑問を持ったことはありませんか?
戸籍に関する手続きでは、「謄本」か「抄本」かを正しく選ばないと、申請が受理されなかったり、再発行の手間がかかったりすることもあります。
このページでは、戸籍謄本と戸籍抄本の基本的な違いや使い分けのポイントをわかりやすく解説しています。
どの場面でどちらが必要かを正確に理解して、スムーズに準備を進めましょう。
このページの目次
【早見表でわかる】戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本と戸籍抄本の違いは、「書類に載っている情報の範囲」で、どちらも法的な証明力に違いはありません。
戸籍謄本(こせきとうほん)は、戸籍簿に記載されている全員の情報を写した書類で、戸籍抄本(こせきしょうほん)は、特定の個人情報のみを写し出した書類です。
戸籍謄本と戸籍抄本の使い分けとしては、手続きで戸籍全員のデータが必要かどうかが基本になります。
なお、相続手続きやパスポートの申請では、戸籍抄本は不可となり、戸籍謄本が求められます。
表にまとめると、以下のようになります。
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戸籍謄本(こせきとうほん) | 戸籍抄本(こせきしょうほん) | |
---|---|---|
記載内容 | 戸籍に記載されている全員の情報 | 戸籍に記載されている一部の人の情報 |
別名 | 戸籍全部事項証明書 | 戸籍個人事項証明書 |
使用シーン | 相続・パスポートの申請、車の名義変更など | 「戸籍抄本で可」とされている手続き ※相続・パスポート申請では不可 |
情報開示の範囲 | 広い(家族全員の情報が含まれる) | 狭い(必要な人のみ) |
次の段落からは、戸籍謄本・戸籍抄本それぞれの特徴を中心に、上記の表にある違いを解説していきます。
戸籍謄本とは
戸籍謄本(こせきとうほん)は、戸籍に記載されている全員の身分情報が記された書類です。 氏名や生年月日、続柄、婚姻や離婚といった家族関係の履歴が記載されており、パスポートの申請や相続、車の名義変更など、各種公的手続きで必要になります。
戸籍謄本が必要なシーンの一例
- パスポートの申請
- 相続手続き
- 公正証書遺言の作成
- 車の名義変更
- 不動産の名義変更
- 預貯金の払い戻し
- 株式名義変更
- 家系図の作成
- 年金の請求
- 保険金の請求
※本籍地以外の市区町村に婚姻届を提出するときには戸籍謄本が必要でしたが、法改正に伴い、2024年(令和6年)3月1日から原則不要となりました。ただし、戸籍が電子化されていない場合は戸籍謄本の提出が必要です。
法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
戸籍は、夫婦(親)と未婚の子を単位として構成されているため、夫婦と未婚の子が3人であれば、戸籍謄本には5人全員の身分情報が記載されます。
ちなみに、戸籍内に一人しか記載されていない場合でも、その写しは戸籍謄本として発行されます。
なお、戸籍謄本の正式名称は「戸籍全部事項証明書(こせきぜんぶじこうしょうめいしょ)」です。
戸籍が紙で管理されていた当時は「戸籍謄本」が正式名称でしたが、戸籍が電子化された現在は「戸籍全部事項証明書」が正式な呼び名になりました。
とはいえ、戸籍が電子化された現在でも、通称として「戸籍謄本」と呼ばれることが一般的です。
- 戸籍とは
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戸籍とは、人が生まれてから死亡するまでの身分関係(出生、婚姻、死亡、親族関係など)を公的に証明する制度です。
簡単にいえば、市区町村が家族関係・身分関係・日本人であることを証明してくれる仕組みです。戸籍は本籍地の市区町村で管理されていますが、戸籍謄本・戸籍抄本は最寄りの市区町村で取得可能です。
※法改正により、2024年(令和6年)3月1日から、本籍地が遠方にある場合でも最寄りの役所で戸籍謄本を取得できるようになりました。
>> 戸籍謄本の取り方を見る- 法務省:戸籍
- 戸籍とは?戸籍謄本と戸籍抄本はどう違うのですか? | FAQ | 関市役所公式ホームページ
- 法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
戸籍謄本に書かれている内容は?
個人の一生が記録されている戸籍謄本には、下記のような内容が記されています。
戸籍謄本に掲載されている主な内容
- 氏名
- 本籍地
- 性別
- 生年月日
- 戸籍に入った原因・年月日
- 父母・養父母の氏名
- 父母・養父母との続柄(例:長男・長女)
- 夫婦については、夫や妻である旨
- 他の戸籍から入った場合は元の戸籍
- 届出や申請の受付年月日
- 本人以外の者が届出ないし申請をした場合は、届出人・申請人の資格と氏名

- 戸籍に氏名の「振り仮名(フリガナ)」が記載されます
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2025年(令和7年)5月26日に改正戸籍法が施行され、戸籍に氏名の「振り仮名(フリガナ)」を記載する制度が始まりました。
なお、氏名のフリガナが戸籍に記載されるのは、2026年(令和8年)5月26日以降です。2025年5月26日から順次、本籍地の市区町村から戸籍に記載予定のフリガナの通知が届きますので、フリガナが正しいかを必ず確認しておきましょう。
通知されたフリガナが誤っている場合は、令和8年(2026年)5月25日までに正しいフリガナを届け出る必要があります。 - 法務省:戸籍にフリガナが記載されます
- 政府広報オンライン:戸籍にフリガナが記載。2025年5月26日以降に自治体から通知が届いたら必ず確認を!
戸籍謄本と「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」の違いは?
戸籍謄本に似た言葉として、「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」があります。
除籍謄本(じょせきとうほん)とは、転籍や結婚、死亡などで全員が戸籍から外れた(除籍)ことを証明する書類です。
戸籍内に一人でもいれば戸籍謄本、戸籍内に誰もいなくなったら除籍謄本になります。
改製原戸籍謄本(かいせいげんこせきとうほん)とは、一言で言えば「法改正前の形式で作成された古い戸籍謄本」のことです。
戸籍は、法改正によって過去に数回フォーマットが変更されており、改製原戸籍謄本はフォーマットが変わる前の旧様式の戸籍を指します。
たとえば、1957年(昭和32年)の戸籍法改正では、戸籍に記載される家族の単位(親等)が変更されました。
それまでの戸籍は、孫・甥・姪なども含めた3世代以上の構成が一般的でしたが、改正後は親と未婚の子による2世代が基本となっています。
除籍謄本・改製原戸籍謄本は、どちらも主に相続手続きで必要となり、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を確認するために使用されます。
また、除籍謄本・改製原戸籍謄本のいずれも、戸籍謄本と同じく役所で取得可能です。
戸籍抄本とは
戸籍抄本(こせきしょうほん)は、戸籍に登録されている一部の人の情報を抜粋した書類です。
わかりやすく言えば、戸籍謄本から必要な人の部分だけを取り出した書類を指します。
たとえば、戸籍に夫婦と未婚の子が3人が記録されていた場合に、夫と長女の情報だけを記載した書類は戸籍抄本となります。
戸籍抄本は、戸籍謄本が必要な手続きにおいて、「家族全員分の情報までは不要」とされるときに使用します。
とはいえ、提出先からは戸籍謄本が求められるケースが大半で、あえて戸籍抄本を指定されるケースはあまり多くありません。
なお、戸籍抄本の正式名称は「戸籍個人事項証明書(こせきこじんじこうしょうめいしょ)」です。
戸籍が紙で管理されていた当時は「戸籍抄本」が正式名称でしたが、戸籍が電子化された現在は「戸籍個人事項証明書」が正式な呼び名になりました。
とはいえ、戸籍が電子化された現在でも「戸籍抄本」と呼ばれるケースが多いようです。
相続・パスポート申請では、戸籍抄本が使えない
相続手続きでは、相続人全員の戸籍情報が必要なため、戸籍抄本ではなく戸籍謄本が必要です。
また、以前は戸籍抄本が使用できたパスポートの申請も、旅券法令の改正に伴い、2023年(令和5年)3月27日以降は戸籍謄本しか認められていません。
戸籍謄本と戸籍抄本を間違えると、再度発行手続きが必要となり、手間もコストもかかります。
相続・パスポート申請の際には、戸籍抄本ではなく戸籍謄本を発行するようにしましょう。
戸籍謄本・抄本で迷ったら、戸籍謄本を選べばOK
「戸籍謄本か戸籍抄本、どっちを使うべきかわからない」というときは、戸籍謄本を選んでおきましょう。
戸籍の全情報が記載された戸籍謄本の方が、一部情報のみの戸籍抄本よりも、提出先が求める内容を確実にカバーできるためです。
なお、「できれば家族の情報を開示したくない」という場合は、戸籍抄本がベターです。
その際は、戸籍抄本が使える手続きかどうかを事前に確認しておきましょう。
そもそも「謄本」と「抄本」の違いは?
結論から言えば、謄本の抄本の違いは「基となる本の内容を書き写した範囲が、全部か一部か」となります。
謄本(とうほん)とは、基となる本の内容をすべて書き写した書類のことです。
対して、抄本(しょうほん)は、基となる本の内容の一部を書き写した書類を指します。
戸籍謄本・戸籍抄本の違いも「戸籍の原本から取り出した情報の範囲」ですので、「謄本」と「抄本」の意味を考えれば理解しやすいでしょう。
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分類 | 謄本・抄本がある文書 | 備考 |
---|---|---|
戸籍関係 | 戸籍謄本・戸籍抄本 | 戸籍簿の写し(全部か一部) |
不動産登記 | 登記簿謄本・登記簿抄本 | 現在は「登記事項証明書」に統一 |
商業登記 | 商業登記簿謄本・商業登記簿抄本 | 現在は「履歴事項証明書」「現在事項証明書」などに名称変更 |
公正証書 | 公正証書謄本・公正証書抄本 | 公証役場で作成した契約書等の写し |
判決文(裁判記録) | 判決謄本・判決抄本 | 裁判所で入手可能。 執行に使うときは「謄本」が必要 |
戸籍謄本・戸籍抄本の取得方法
戸籍謄本・戸籍抄本を取得するには、役所の窓口・郵送やコンビニ発行の方法があります。
詳しい手順は、下記ページをご覧ください。
>> 戸籍謄本の取り方を見る
なお、戸籍謄本・戸籍抄本の発行手数料は自治体によって異なりますが、一般的には450円です。
取得時には、運転免許証・マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要となります。
まとめ
戸籍謄本と戸籍抄本の違いは、「誰の情報まで記載されているか」です。
戸籍謄本は戸籍に載っている全員の情報をまとめたもので、戸籍抄本は特定の人の情報だけを抜粋したものです。
どちらを提出すべきかは手続きによって異なり、相続やパスポートの申請などでは戸籍謄本が必須となります。
一方で、提出先から「抄本で可」とされている場合には、戸籍抄本でも問題ありません。
とはいえ、手続きごとに必要な書類を間違えると、再発行の手間がかかってしまいます。
迷ったときは、戸籍謄本を選ぶのが基本ですが、プライバシーに配慮したいときには戸籍抄本が使えるか事前に確認しておくと安心です。
目的に応じた正しい書類を選び、スムーズに手続きを進めましょう。