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「長い名前でも、印鑑の小さいスペースに収まるの?」
「そういえば、日本一長い名前ってどんな名前か気になる」

あなたはご存知ですか?
日本でいちばん長い【人の名前】を。

その人の名前とは、「藤本 太郎 喜左衛門将時能(ふじもと たろう きざえもんのしょう ときよし)」さんです。

えっ?そんなに長い名前の人、本当にいるの?と思われた方も多いと思いますが、この方、実在しているんです。
建設会社の社長さんで、最近もテレビで取り上げられました。

ここでひとつ疑問がわいてくると思います。
こういう長い名前の人でも、実印ってつくれるんだろうか?

クエスチョン

こんにちは。
日本中のハンコをつくり続けてきたハンコヤドットコムの金星です。
私は会社のECサイトの担当をしているのですが、あるとき、仕事をしている途中にふと思いました。

「日本一長い名前の人の実印って、どうやって作るんだろう・・・」

そう思って私は、自社の印鑑の製造部門に聞いてみました。

登場人物A金星

すいません。製造部門の渡辺さんに質問です。
漢字で10文字を超えているような長い名前の人の印鑑って、現実的に作れるものなのでしょうか?

登場人物B製造部門の渡辺

そうですね・・・。
そんなに長い名前の印鑑を作ったことはないけど、うちの技術なら作れるでしょうね。

登場人物A

そうなんですね・・・!
たとえば、次のような人の実印をつくれますか?
「大前田 日光太郎右衛門 美菖蒲介 希千代(おおまえだ にっこうたろうえもん よしあやめのすけ まれちよ)」

登場人物B

誰ですか、それは?

登場人物A

ブリーチに出てくる死神です。

登場人物B

ブリーチ、髪染めですか?

登場人物A

・・・まぁ、そんなとこです。

ブリーチとは!?

漫画『BLEACH』のことである。家族を守るために悪霊を退治する死神となった男の闘いを描いた、 スタイリッシュアクション長編漫画であり、女子層からの圧倒的な人気を獲得している少年漫画でもある。

登場人物B

「大前田 日光太郎右衛門 美菖蒲介 希千代」・・・漢字で17文字か。

登場人物A

さすがに漢字で17文字は不可能ですかね。

登場人物B

印鑑をつくり続けて幾千万本。我が辞書に不可能という文字はありません。
今日中につくりあげてみせます。

登場人物A

えっ・・・!?今日中と言いましたか?
そんなに早くて大丈夫ですか・・・・?

登場人物B

大丈夫だ、問題ない。
当日出荷の腕前、お見せする。

印鑑をつくることにかけては誰よりも熱い魂をもつ製造部門の渡辺さん。
彼の腕によって、いったいどんな「日本一長い名前の印鑑」が生まれたのか?

その一部始終をとくとご覧あれっ!

印鑑を作るための3つの準備

印鑑には3つの構成要素があります。用途に合わせて「サイズ・形」、「素材」、「書体」を決めていきましょう。今回の印鑑作成ではどのように決定したのか、プロの印鑑の選び方をご覧ください。

  1. サイズ・形
  2. 素材
  3. 書体

1.まずはサイズから決める

サイズ・形

登場人物B

まず、今回の印鑑のサイズは24mmにさせていただきます。

登場人物A

24mm・・・!なるほど、
実印として使えるサイズを意識されているのですね・・・。

登場人物B

そうです、使えない印鑑をつくっても仕方がない。
作るのなら、実印登録できる印鑑をつくるべきです。

実印登録とは!?

実印登録とは、はんこを役所に登録しておくことで「自分だけの印鑑である」ことを証明できる制度のことです。
役所に登録したはんこは実印と呼ばれ、住宅や自動車の購入、ローン、遺産相続など、人生の節目で使われることの多い印鑑です。
そして、実印登録できる印鑑は、「8mm~25mm」の範囲内と決められています。
ちなみに、形には決まりがなく、楕円、正方形、長方形なども実印として登録できます。

登場人物A

サイズはわかりました。
肝心の形ですが、今回はどんな形の印鑑をつくられますか?

登場人物B

今回は、正方形にします。

登場人物A

えっ・・・!正方形・・・!?

登場人物B

はいそうです。
なぜなら、「大前田 日光太郎右衛門 美菖蒲介 希千代」という言葉は「菖蒲(あやめ)」という画数の多い花の名前が印象的です。
この文字を並べた時にバランスよく見せたいので、文字の大きさは均一にしたい。
その場合、端が欠けてしまう丸い形では、美しさを損ないます。
だから「菖蒲(あやめ)」が途切れず、美しく見える正方形にします。

登場人物A

なんと、そんなことまで考えて印鑑をつくっているんですか?

登場人物B

当たり前です。
日本でいちばん美しい印鑑をつくるべく、いついかなるときも、常に頭の中で様々なシミュレーションをおこなっています。

2.次は素材を決める

素材

登場人物B

しかし、どうせ作るのなら、材質も美しいものにしたい。
印鑑としての実用にも耐えて、押した跡もくっきりキレイな印影を刻むだけでは及第点。
それだけでなく、印鑑そのものを持ったときの感触も大切にしたい。

登場人物A

そのような希望をすべて叶える材質ってあるんですか・・・?

登場人物B

基本的には、私たちがつくる印鑑はひとつひとつ丁寧に手で仕上げるため、印材として使われているものならどの素材でも問題はない。
・・・よし、今回は長い名前なので、木で作ろうと思います。

登場人物A

なぜですか?

登場人物B

長い名前なのでキレイに収まるよう24mmサイズで作ると決めたのですが、
おそらく、大きくて黒い印鑑だと個人用としては威圧感を与えてすぎてしまうでしょう。
だから、威圧感をやわらげるため、ぬくもりを感じられる『木材』がふさわしいです

登場人物A

木ですか?

登場人物B

はい、木のやさしい雰囲気で人を癒やす印鑑にします。

3.最後に書体を決める

登場人物A

そういえば、印鑑の書体は偽造されにくいものがよいと聞きます。
ということは、今回も読みにくい書体でつくるんですか?

登場人物B

そのつもりです。
そもそも、文字数が多い時点で偽造もされにくいのでどんな文字でも問題はありません。
だけど、職人としては美しい印影にこだわりたい。
そうなってくると、普通に読める日本語ではなく、偽造防止にもなる難しい書体がベストです。

ポイント

実印は偽造防止のため可読性が低く、作成が難しい吉相体篆書体がオススメです。
しかし、好みによっては古印体隷書体などでも作成されます

吉相体(きっそうたい)

吉相体(きっそうたい)

篆書体(てんしょたい)

篆書体(てんしょたい)

古印体(こいんたい)

古印体(こいんたい)

隷書体(れいしょたい)

隷書体(れいしょたい)

登場人物A

ということは、今回の書体は?

登場人物B

吉相体です。
印鑑に適している印鑑業界のスタンダード。
これならば、作るのが難しく、偽造防止にもなる!

登場人物A

なるほど、吉相体と来ましたか・・・!!

登場人物B

・・・これで、作る印鑑は決まりました。
作業に入らせてもらいます。

ーそして、数時間後。

完成!日本一長い名前の印鑑

登場人物B

ご覧ください。
これが、日本一長い名前の印鑑です・・・!

登場人物A

これは・・・!!!

サンプル
登場人物A

おおおおおおおおお、しっかり彫られている・・・!!!!!!
しかも、細かいのに文字がつぶれて無くてちゃんと読める!
スゴイじゃないですか!

登場人物B

ふっふっふ・・・
しかし、ハンコは押してこそ!
さぁ早く押してみてください!

登場人物A

ああ・・・ついにこの時が来たんですね!
ふとした思いつき・・・
日本一長い名前の人の印鑑はどうなっているんだろう。
という疑問がいよいよ解消されるのですね!

登場人物A

それでは、朱肉をつけて・・・
いざ、日本一長い名前のはんこ押してみます!

登場人物A

うおおおおおおおおおお!

サンプル

そこには確かに!

サンプル

日本一長い名前の印影(いんえい)が!

登場人物B

どうです?
日本一長い名前で作った実印は

登場人物A

まさか、こんなにくっきりと文字が読めて
美しい印影
ができるとは思いませんでした!

サンプル
登場人物B

印鑑を彫りはじめる前に、一人一人の名前に合わせて文字を作ってますからね。
どんな名前・書体でもキレイにおさまるようにバランスを整えています。

登場人物A

なるほど・・・。
印鑑の作成は文字を作り上げるところから始まっているのか・・・!

登場人物B

大前田 日光太郎右衛門 美菖蒲介 希千代(おおまえだ にっこうたろうえもん よしあやめのすけ まれちよ)
作りがいのある印鑑だった・・・

どんなキャラクターか気になったから、『BLEACH』も調べてみました。

登場人物A

どうでした? 大前田希千代は?

登場人物B

大前田希千代の妹がかわいい!

さいごに

いかがでしたか?
最後にもう一度、日本一長い名前の印鑑を見てみましょう。

サンプル

名前は、漢字で17文字
大前田 日光太郎右衛門 美菖蒲介 希千代(おおまえだ にっこうたろうえもん よしあやめのすけ まれちよ)
(漫画『BLEACH』より)

サイズ・形は、実印として登録できる「24mmの正方形
印材は、木のぬくもりを感じる「木材(薩摩本柘)
書体は、偽造の難しい印鑑のスタンダード「吉相体

今回作成した印鑑は、ハンコヤドットコムが考えた理想的な印鑑の形です。
もちろん、印鑑の選び方は人それぞれ違うものなので、いろいろな選び方に挑戦してみてくださいね。

たとえば、もっと重厚感を出すために、黒水牛の角で作ってもいいでしょう。
逆に、古風な名前ならば、メタリックな金属で作ってもおもしろいと思います。

お相手は、「ハンコヤドットコム」の金星でした!