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押印と捺印の違いとは?意味や法的効力の差について解説

「押印と捺印とは、そもそもどんな意味?」
「押印と捺印には法的効力に違いがある?」
「失敗したくないので、押印や捺印をする位置を確認したい」
このように、押印と捺印に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

この記事では、押印と捺印の違いや意味、法的効力の差などについて解説していきます。
契約書をはじめ、ビジネスシーンで印鑑を使用する方はぜひ参考にしてください。

押印と捺印の違い

押印と捺印の違い

押印と捺印の違いは、書類に記された名前が自筆(本人の手書き)かそうでないかであり、法的効力にも差があります。
表でまとめると、このようになります。

押印(おういん) 捺印(なついん)
記名押印の例 署名捺印の例
定義(意味)
  1. 自筆以外の方法で名前が記された書類に印鑑を押すこと
  2. 名前の有無に関わらず、純粋に印鑑を押すこと
自筆した名前に加えて印鑑を押すこと
正式名称 記名押印(きめいおういん) 署名捺印(しょめいなついん)
違い 書類に記された名前が自筆(本人の手書き)かそうでないか
法的効力

詳しい定義については、以下の段落から解説していきます。

押印とは

押印(おういん)とは、「記名押印(きめいおういん)」を省略した言葉で、行為としては自筆以外の方法で名前が記された書類に印鑑を押すことを指します。
ちなみに、記名は自筆以外の方法で記された名前のことで、以下のものが当てはまります。

記名の例

  • 印刷された名前
  • 社印やゴム印で押された名前
  • 代筆された名前

また、名前の有無に関わらず、純粋に印鑑を押す行為を「押印」と呼ぶ場合もあります。

■記名押印の例

記名押印の例

捺印とは

捺印(なついん)とは、「署名捺印(しょめいなついん)」を省略した言葉で、行為としては自筆した名前に加えて印鑑を押すことを指します。
なお、署名は本人が手書きで記した名前(サイン)のことで、代筆されたものは記名になるので注意しましょう。

■署名捺印の例

署名捺印の例

押印と捺印は法的効力に差がある

押印と捺印には、法的効力に違いがあります。
結論から言えば、押印・捺印どちらにも法的効力はありますが、それを裏付ける証拠能力は捺印の方が高くなります。

【理由1】書類に本人または代理人の押印・捺印があれば、法的効力が生まれる
押印・捺印どちらにも法的効力がある旨は、民事訴訟法第228条4項に記されています。
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。出典:民事訴訟法第二百二十八条(文書の成立)4項|e-Gov法令検索
【理由2】捺印のある書類は名前が自筆(署名)のため、筆跡鑑定で本人の証明が可能
押印・捺印どちらにも法的効力がありますが、証拠としての強さに差があります。
根拠となるのは、民事訴訟法第229条です。
文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。出典:民事訴訟法第二百二十九条(筆跡等の対照による証明)|e-Gov法令検索

「筆跡には証拠能力がある」と規定されているため、捺印(名前が自筆)には証拠能力があると分かります。
つまり、押印(名前が自筆でない)は本人の証明ができず証拠として劣ることになります。

以上のことから、契約書をはじめとする重要な書類には、押印より証拠能力が高い捺印が求められます。

契約書と印鑑について、さらに詳しく知りたい方はこちら

契約書に使う印鑑・はんこ特集

押印と捺印をする位置

押印・捺印をする位置は、どちらも慣例に従うのが一般的です。
明確なルールは存在しないので、書式に沿って押印・捺印するとよいでしょう。
名前欄の横に「印」というマークがあれば、その上に重ねて押せば問題ありません。

ただし、印鑑証明が求められる重要書類の場合は注意が必要です。
印鑑証明を成立させるには、書類に押された印影(紙に残る朱肉の跡)が印鑑証明の印影と一致しなければなりません。
そのため、他の文字や枠に少しでも重ねて実印を押してしまうと、印鑑証明との照合ができなくなってしまいます。
実印を押すときは、印影がはっきり見えるよう文字や枠に被らない位置に押しましょう。一般的な位置は名前の右横です。

脱ハンコの流れで電子印鑑を活用する人も

近年、書類への押印・捺印をなくす「脱ハンコ」が注目されています。
この背景には、デジタル技術で社会の利便性の向上を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の活発化があります。
脱ハンコの動きは民間企業だけでなく行政でも進んでおり、令和3年9月1日からは戸籍届出など一部の行政手続きで印鑑が不要となりました。

また、働き方の多様化も進み、テレワークの促進に伴って電子印鑑も普及しています。
業務効率化を視野に入れるなら、従来の押印・捺印に加わる新しい選択肢として電子印鑑を検討してもよいでしょう。

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参照:
押印・書面の見直しに係る法改正事項について(内閣府規制改革推進室)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の概要(デジタル庁)