古印体とは?印鑑で選ばれる理由や「怖い」と感じる背景を解説
- 公開日:
- 更新日:
「古印体ってどんな書体?」
「古印体に怖いイメージがあるけど、印鑑の書体に選んでもいい?」
古印体について、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このページでは、古印体の歴史や「怖い」というイメージがついた理由、印鑑に用いる際のポイントを解説しています。
「古印体と隷書体のどちらを選ぶべきか?」の疑問にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

古印体とは

古印体(こいんたい)とは、奈良・平安時代に使用された大和古印(やまとこいん)と中国由来の隷書体(れいしょたい)をもとに作られた、日本独自の印鑑用書体です。
丸みを帯びた線が特徴で、古風な印象と読みやすさが両立した書体として親しまれています。
また、その判読性の高さから、古印体は認印やシャチハタなど日常使いの印鑑に広く用いられています。
古印体は独特の線の欠けや墨溜まりが特徴ですが、これは当時使われていた鋳銅印の製造過程で生まれたものです。
鋳型で生まれる文字は線が均一にならず、欠け・太さの不揃いが起きますが、そうした特徴が古印体の味わいとして受け継がれています。
現代の古印体は、こうした伝統的なデザインを踏襲しながら、より太く丸みを強調した形に進化しています。
大和古印は、奈良・平安時代に日本で作られた鋳銅印で、官印として公文書などに用いられました。
鋳造の際に、独特の線の欠けや墨溜まりが生まれるのが特徴です。
「古印体は怖い」のイメージは少年漫画から広まった
「古印体はホラー感があって怖い」という印象を持つ人は少なくありませんが、このイメージは1987年(昭和62年)に少年漫画から広まったものです。
少年漫画で使われたのは古印体の一種である「淡古印(たんこいん)」で、不気味なセリフや場面の演出に用いられたために「怖い書体」という印象が読者の間に定着しました。
淡古印は、1979年(昭和54年)に印刻師・井上淡斎(いのうえ たんさい)によってデザインされた書体で、もともとはアンティークな雰囲気を出すために使われていたものです。
作り手の意図から離れ、当初とは違うニュアンスを与えられた珍しい経緯をもつ書体といえるでしょう。
ちなみに、ハンコヤドットコムの古印体は姓名を美しく見せるために線の途切れやかすれを抑えたデザインですので、「怖い」という印象は軽減されています。
一般的な古印体 | ハンコヤドットコムの古印体 |
---|---|
![]() |
![]() |
古印体の歴史
古印体は大和古印と隷書体にルーツがありますが、印鑑の書体として定着した背景には、幕末から明治にかけて活躍した印師・畑河雄(はたがわ ゆう)の功績があります。
畑河は、幕府御用の印師として「偽造の心配がない書体」の必要性を感じ、過去の印譜(印影の記録)を参考に「倭古印体(やまとこいんたい)」と呼ばれる書体を作り上げました。
1872年(明治5年)には、倭古印体を使った印鑑を大久保利通に献上したことで注目を集め、書体の認知が広がっていきます。
さらに翌年の1873年(明治6年)に民間での実印の登録制度が整うと、倭古印体は印鑑用の書体として定着していきました。
その後も、芦野楠山(あしの なんざん)や三扶緑山(みぶ りょくざん)といった人物の手で改良され、現在の古印体へと至っています。
現在の古印体は、可読性が高いために実印・銀行印よりも認印で親しまれていますが、本来は偽造防止を追及したことで生まれた書体だったのです。
※現在でも、古印体を倭古印体と呼ぶ場合があります。
古印体は印鑑・はんこにおすすめの書体
丸みのある読みやすい字体で、認印に最適
古印体は丸みのあるフォルムで、複雑な漢字でも読みやすいため、認印に適した書体です。
誰が押印したかが判別しやすいため、宅配便の受け取りやビジネス文書など、幅広い場面で重宝します。
認印の書体選びで迷っている方は、ぜひ古印体を検討してみてください。
シャチハタでも古印体が選べる
認印などの印鑑だけでなく、いわゆるシャチハタ(浸透印)でも古印体が選べます。
店頭で手に入る既製品のシャチハタは楷書体のため、古印体は「雅で柔らかい印象にしたい」「印鑑に少し個性を出したい」という方におすすめです。
加えて、シャチハタの古印体は、程よい虫喰いと墨溜まりが特徴的な奥深い書体となっています。

シャチハタでは、古印体以外にも隷書体・角ゴシック体といった書体も選択可能です。
シャチハタの書体一覧は、下記ページからご覧いただけます。
古印体は電子印鑑にもおすすめ
ビジネスのオンライン化に伴い電子印鑑が注目されていますが、電子印鑑は古印体での作成も可能です。
古印体の電子印鑑は、柔らかみのあるデザインで読みやすく、相手の印象に残りやすいメリットがあります。
企業間の取引書類や契約ファイルなど、フォーマルな場面でも独特の風格を表現できるでしょう。
本格的な古印体の電子印鑑を作るなら、印鑑専門サイトの利用がおすすめです。
ハンコヤドットコムでは、専門スタッフがオリジナルの印影をデザインするため、優しい印象の古印体で電子印鑑が作成できます。
実印・銀行印を古印体で作成する際のポイント
実印・銀行印で「読みやすさを優先したい」という希望がある場合は、古印体はおすすめの書体です。
一方で、古印体は判読がしやすい書体なだけに、実印などの重要な印鑑では複製のリスクに注意が必要です。
何を重視するかによって最適な書体は変わりますので、印鑑の使用シーンを考えながら、自分にしっくりくるものを選んでみてください。
実印・銀行印の偽造リスクを避けたい場合は、複雑な書体である篆書体や吉相体(印相体)が望ましいといえるでしょう。
ハンコヤドットコムでは古印体をはじめ、篆書体や吉相体(印相体)の実印・銀行印を取り揃えております。
印鑑の書体一覧・詳しい選び方は、下記ページからご覧いただけます。
印鑑におすすめの書体一覧
古印体以外にも、印鑑の書体には篆書体・隷書体といった多くの種類があります。
書体によって印象や使い勝手が異なるため、どんなシーンで押印するかを考えながら選ぶと良いでしょう。
吉相体 (印相体) |
篆書体 | 太枠篆書体 |
---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
古印体 | 隷書体 | |
![]() |
![]() |
吉相体 (印相体) |
篆書体 | 古印体 |
---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
印鑑の書体一覧・詳しい選び方は、下記ページからご覧いただけます。
認印で、古印体と隷書体ならどっちを選ぶべき?
古印体と隷書体のどちらにするか悩む方は少なくありませんが、結論からいえば好みで選んで問題ありません。
文字がわかりやすく丸みのあるデザインが好みなら古印体、現代的で端正なデザインが好みなら隷書体がおすすめです。
プレビュー機能も活用し、自分の氏名と書体の相性をチェックしながら判断するとよいでしょう。
古印体 | 隷書体 | |
---|---|---|
見た目 | ![]() |
![]() |
特徴 | 太く丸みを帯びた線と、墨溜りや欠けのある味わい深さが特徴 | 横長の文字と波打つような「波磔(はたく)」の美しさが特徴 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
こんな人におすすめ |
|
|
まとめ
日本独自の書体である古印体は、丸みのあるデザインと独特の線の欠け・墨溜まりが特徴的です。
判読性が高いため認印におすすめですが、かつては偽造防止のために生まれたという意外な一面もあります。
印鑑はもちろん、シャチハタや電子印鑑など多様な用途に対応できるため、書体選びに迷った際はぜひ古印体を候補に入れてみましょう。
印鑑の書体一覧は、下記ページからご覧いただけます。