代表者印(丸印)とは?会社実印を作るときのポイントを解説
- 公開日:
- 更新日:
代表者印(だいひょうしゃいん)とは、会社が法務局に会社設立登記をするときに登録するハンコのことです。
法務局に登録した印鑑は、会社における実印(=会社実印)となり、法的な拘束力を持ちます。
法務局に印鑑を登録すると、印鑑証明書を取ることができます。
会社の存在証明が求められるような重要な契約や法的手続きでは、「代表者印でのなつ印」と「印鑑証明書」が求められます。
このページでは引きつづき「代表者印(会社実印)」を知る上で大事なポイントとなる
- どんなときに代表者印が求められるのか
- 代表者印を作るときに気をつけるべきこと
代表者印(会社実印)が求められるのはこんなとき
代表者印(会社実印)は会社の意思決定を示すために必要で、会社の中でもっとも大事なハンコです。
会社設立のタイミング以降は、会社の存在証明が重要となる取引や法的手続きで必要になり、以下のようなシーンで使います。
- 代表取締役の変更があったとき
- 株券を発行するとき
- 法人が不動産を売るとき
- 不動産を担保に入れるとき
- 連帯保証をする契約を結ぶとき
- 企業を買収するとき
- その他正式な文書などで、重要な契約をするとき
- 法人の代表者の変更があった場合、代表者印は新しいものに変更する必要がありますか?
- 代表者印に代表者の個人名は彫られていないため、変更の必要はありません。
ただし法人名が変更になった場合は、商号の変更登記を申請する必要があり、新しい社名で作った代表者印が必要です。
- 領収書など、日常の対外的な書類にも代表者印は必要ですか?
- 領収書などの会計書類や、事実を通知するだけの書類には、代表者印は不要です。
上記のような軽い書類には、認印(みとめいん)である角印を使いましょう。
- 大阪と東京に拠点が分かれていて、実印は東京にあるのですが、契約書のために都度郵送すると書類がスムーズに処理できません。大阪でも押印処理をしたいので、実印と同じ印面内容で認印を作成し、実印代わりに使用してもよいですか?
- 実印と同じ印面内容の認印をいくつ作っても問題ありません。
書類手続きをスムーズにするために、認印を複数用意している会社も多いです。
ただし、認印であっても書類に押してしまえば、対外的には代表取締役が認めた文書になります。
意図しない書類に押されないように使用目的などを確認するなど、印鑑の管理は厳重にしてください。
代表者印(会社実印)の押し方
契約書に押す場合
代表者印(会社実印)は、契約書の末尾にある「会社名」「氏名」などの署名の右横に押します。
署名に重ねるようになつ印しても問題ありません。
しかし、押された印影が本当に正しいものか印鑑証明書と見比べるため、文字にかぶらないように押す方が良いと言われています。
「印」の文字が印刷されている場合
代表者の名前の右横付近に「印」という文字が記載されている場合があります。
その場合は、「印」の文字の上に代表者印を押しましょう。
代表者印(会社実印)を作成するときのポイント
法務局で定められている代表者印の規定とは
代表者印(会社実印)には、サイズの規定があります。
「1cm以上3cm以内の正方形に収まるサイズ」と法務局により定められています。
印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。
商業登記規則第九条より
その他、形状や刻印内容に関する規定は特にありませんが、一般的には丸型のハンコに「株式会社○○○○ 代表取締役印」などと彫られます。
(代表者印(会社実印)の刻印内容についてはこちら)
また、商業登記規則には以下のような記載もあります。
印鑑は、照合に適するものでなければならない。
商業登記規則第九条より
たとえばシャチハタなどのインク浸透印やゴム印などは、経年によって印面が変形する可能性があるので照合に適しません。
シャチハタやゴム印では登録できないため、注意しましょう。
代表者印(会社実印)に適したサイズはこれ!代表者印の定番サイズ
代表者印(会社実印)は、印面サイズが直径18mmまたは21mmの丸型のハンコが定番です。
ハンコヤドットコムでは、18mmを購入される割合が高く、代表者印の中では定番のサイズとなっています。
21mmは代表者印の中でも大きめのサイズで、印鑑を押したときにどっしりとした印象があるため、風格を求める方におすすめです。
社名が比較的長い場合も、21mmの大きめのサイズを選んでおくと、文字がつぶれてしまう心配がありません。
印鑑は大事な印鑑ほど大きく作るという、古くからの慣わしがあります。
個人の印鑑でも法人の印鑑でも、実印>銀行印>認印の順で重要とされます。
そのため、代表者印は「会社銀行印よりも一回り大きいサイズ」を意識して作ると良いでしょう。
代表者印は、通常は丸型で作成するため「丸印(まるいん)」とも呼ばれます。
また、法人の印鑑の中には、四角い形の「角印(かくいん)」も存在しますが、こちらは会社の認印として使用されるため「社印(しゃいん)」と呼ばれます。
- <丸印>
- 会社の実印(代表者印)
- 丸型
- <角印>
- 会社の認印(社印)
- 角型
このように、印鑑の形状で用途を区別するのが一般的です。
天丸とは?寸胴とは?法人印鑑の形状について
法人のハンコには、以下のように「天丸タイプ」と「寸胴タイプ」の2つの形状があり、それぞれ特徴があります。
ハンコ本体の形状に規定はないので、好みで選んで問題ありません。
天丸タイプ
- 法人のハンコとして定番の形状
- 法人の風格・重厚感が出る
- フタが付いており印面を保護できる
寸胴タイプ
- 個人のハンコと同じ形状
- 装飾がなくシンプルでスマートな印象
- 天丸タイプと比べてリーズナブル
【図解】代表者印(会社実印)の刻印内容
代表者印(会社実印)の印影は、一般的に二重の円になっています。
外側の円には会社名が入り、内側の円には役職名が入ります。
【早見表】法人の種類ごとの内枠内容
法人の種類によって、印鑑の内枠に入る役職名が異なります。
代表者印を作成する場合は、以下の早見表を参考にしてください。
法人の種類 | 内枠 |
---|---|
株式会社 | 代表取締役印 |
有限会社 | 代表取締役印 / 取締役印(取締役が1人の場合) |
相互会社 | 代表取締役印 |
合名会社 | 代表者印 |
合資会社 | 代表者印 |
LLC(合同会社) | 代表者印 / 代表社員 / 代表社員之印 / 代表職務執行者之印 / 業務執行社員之印 |
LLP(有限責任事業組合) | 代表者印 / 代表組合員之印 / 代表組合員 |
特定非営利活動法人(NPO法人) | 理事之印 / 代表理事之印 |
社団法人 | 理事之印 / 代表理事之印 |
財団法人 | 理事之印 / 代表理事之印 |
学校法人 | 理事之印 / 代表理事之印 |
医療法人 | 理事之印 / 代表理事之印 |
社会福祉法人 | 理事之印 / 代表理事之印 |
農業協同組合 | 理事之印 / 代表理事之印 |
消費生活協同組合 | 理事之印 / 代表理事之印 |
労働組合 | 理事之印 / 代表理事之印 |
中小企業等協同組合 | 代表理事之印 |
信用金庫 | 代表理事之印 |
宗教法人 | 代表役員 |
- 代表者印には、「○○株式会社 代表取締役印 判子屋 太郎」のように個人名も入れる必要がありますか?
- 代表者印に、個人名は不要です。
会社名と役職名のみでOKです。
代表者印の刻印内容は、外枠に会社名・内枠に役職名が入るのがキホンですが、実は刻印内容に関する規定はありません。
つまり、会社名や役職名が入っていなくてもいいし、ロゴやイラストが入っていても問題ないということになります。
ただし、代表者印は対外的に使用する重要なツール。
社会的な立場を考え、きちんと法人名の入ったハンコを用意しておく方が印象が良いでしょう。
代表者印(会社実印)に適した書体とは
代表者印(会社実印)には書体についての規定がなく、自由に選ぶことができます。
法人の印鑑には、一般的に以下のような書体があります。
簡単な印面だと偽造・悪用のリスクがありますが、あまりに可読性の低い書体だと読むのが困難になります。
その結果、何の印か判断できなくなったり、押印のときに印鑑の上下を把握しづらくなったりします。
特に法人の印鑑の場合、刻印する文字数が多くなるので、最も可読性の低い「吉相体(きっそうたい)」を選ぶと、見慣れていない人にはほとんど読めない状態になります。
ハンコヤドットコムでは、「社名・役職名が把握できる程度」の印鑑を求められる方が多く、「篆書体(てんしょたい)」が最も人気です。
ハンコヤドットコムでは「篆書体(てんしょたい)」が一番人気ですが、げん担ぎの意味合いを持たせるために、字が上下左右斜めと八方に広がる「吉相体(きっそうたい)」を選ぶ方もいます。
また「古印体(こいんたい)」は読みやすい書体で、やさしくなじみやすい印象を与えます。
事業内容と雰囲気の合うデザインを選んでみるのも良いですね。