行書体とは?書体の歴史や印鑑におけるメリット・デメリットを解説
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「行書体ってどんな書体?」
「印鑑の書体は行書体でいいのか悩む…」
行書体について、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このページでは、行書体の歴史といった基礎知識をはじめ、印鑑に用いるときのメリット・デメリットを解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。

行書体とは

行書体(ぎょうしょたい)とは、隷書体の走り書きから生まれた書体で、速記向きでありながら読みやすいのが特徴です。
筆書きの流れるような字体が魅力で、一画一画がしっかりした楷書体と崩れた字体である草書体との中間的な見た目が特徴です。
現代の日本では日常的な書体として親しまれており、書道をはじめ印鑑や年賀状で多く利用されています。
行書体は可読性が高いため複製しやすく実印・銀行印には不向きですが、認印やシャチハタにはおすすめの書体です。
「行書体は楷書体を崩したもの」は誤った解釈
「行書体は楷書体を崩したもの」という説明をしばしば見かけますが、これは正しくありません。
行書体は隷書体から派生したものであり、楷書体より前に誕生した書体です。
実際、行書体は楷書体を崩した形に見えるうえ、楷書体を知っていればある程度読めるために生まれた誤解と考えられます。
行書体の歴史
行書体は後漢の時代に誕生し、東晋の時代の書家・王羲之によって完成した書体と言われています。
隷書体の走り書きから生まれた行書体ですが、同じく隷書体から派生した草書体に比べて読みやすいのが特徴です。
画数が極端に少なく速記に特化した草書体と異なり、行書体は可読性も備えた書体でした。
そのため、古代中国において草書体は手紙などの砕けた文書で使われ、行書体は公務文書や祭礼用の文書に使われました。
また、江戸時代の日本では幕府の公文書に行書体を用いることが定められており、寺子屋でも子どもたちに行書体の読み書きが教えられていました。
王羲之をはじめ、顔真卿や空海による作品があります。
- 王羲之『蘭亭序』
- 褚遂良『枯樹賦』
- 顔真卿『祭姪文稿』
- 空海『風信帖』
- 最澄『久隔帖』
- 馮承素臨王羲之『蘭亭序』
行書体はシャチハタ印鑑におすすめ
行書体には印面が欠けやすいリスクがありますが、ゴム製のシャチハタ印鑑ならその心配はありません。
加えて、シャチハタは実印や銀行印のように厳格なセキュリティを求められないため、見た目の美しさを優先して書体を選べます。
店頭で手に入る既製品のシャチハタは楷書体のため、行書体は「ちょっと個性を出したい」「柔らかく流れるようなデザインにしたい」という方におすすめです。

シャチハタでは、篆書体以外にも楷書体・隷書体といった書体も選択可能です。
シャチハタの書体一覧は、下記ページからご覧いただけます。
読みやすいために、実印や銀行印には適さない書体
行書体は可読性が高く読みやすい書体ですが、それだけに複製も簡単です。
そのため、偽造や悪用のリスクを考慮すると、実印や銀行印には適していません。
一方で、誰が押印したかが判別しやすいという利点があるため、認印には使いやすい書体といえます。
線が細い部分が多く、欠けやすい
行書体は線が細い部分が多いため、認印に多く使われる古印体・隷書体と比べると欠けやすい書体です。
印鑑を長く大切に使うためにも、耐久性も考慮して書体を選ぶことをおすすめします。
ハンコヤドットコムでは、認印におすすめの書体として古印体・隷書体をご用意しております。
古印体 | 隷書体 |
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印鑑の書体一覧・詳しい選び方は、下記ページからご覧いただけます。
「自分の名前を古印体・隷書体に変換したい」「他の書体と比較したい」という方は、書体プレビューをご利用ください。
印鑑におすすめの書体一覧
印鑑におすすめの書体には、いくつか種類があります。
最適な書体は、作りたい印鑑が実印・銀行印・認印などによっても変わるので、見た目も含めて比較検討するのがおすすめです。
吉相体 (印相体) |
篆書体 | 太枠篆書体 |
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古印体 | 隷書体 | |
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吉相体 (印相体) |
篆書体 | 古印体 |
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なお、ハンコヤドットコムでは印鑑における行書体の取り扱いは行っておりません。
印鑑の書体一覧・詳しい選び方は、下記ページからご覧いただけます。
まとめ
行書体は後漢時代に生まれ、日本でも江戸時代には公文書に使われた歴史ある書体です。
その流れるような筆跡と可読性の高さから、現代ではシャチハタ印鑑にも適した書体として親しまれています。
ただし、偽造のリスクを考えると実印や銀行印には向かないため注意が必要です。
印鑑を選ぶ際は、用途や耐久性を考慮し、自分に合った書体を選びましょう。
印鑑の書体一覧は、下記ページからご覧いただけます。