拇印とは?印鑑の代わりに使える?法的効力や使える書類、リスクを解説
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「印鑑の代わりに拇印を使ってもいい?」
「拇印はどの指で押す?」
「拇印に危険性はある?」
契約書への押印や取引を行う際に、このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
この記事では、拇印の効力や使える書類、押し方・印鑑の代わりにするリスクなどを解説します。
「指印」「爪印」「血判」など、拇印と似た表現との違いなどにも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】拇印は意思表示の補強になるが、印鑑と同じ効力はない
拇印は書類へ押すこと自体はできますが、実務上は印鑑と同等の法的効力を持つものとは扱われません。
手形・小切手のように押印が法律で求められる文書では無効とされた判例があるため、拇印を印鑑の代替手段にするのは避けた方がよいでしょう。
また、自筆証書遺言では自署・押印が要件ですが、押印部分を拇印としても有効となった判例があります。
ただし、後々の遺産トラブルのリスクを考慮すると、拇印ではなく実印が望ましいとされています。
拇印には一定の証拠力があり、まったく意味がないわけではありません。
押印が必須でない一般的な契約書に拇印があれば、「内容に同意した」という本人の意思を補強する根拠として扱われます。
とはいえ、拇印は本人確認が難しいため、後のトラブルを防ぐには印鑑を使う方が確実です。
拇印は、あくまで印鑑が手元にない場合の補助的な手段と認識するのがよいでしょう。
- 拇印の要点まとめ
-
- 拇印を「印鑑の代わり」として使うのは基本的にNG
- 一般的な契約書では補強証拠としての意味はある
- 遺言では有効と認められた判例がある
- 公的手続き・法的要件がある文書では使えないことが多い
印鑑のなかでも、実印は本人を証明する重要なものですので時間や気持ちに余裕のあるときに用意しておくのがおすすめです。
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拇印とは
拇印とは、指の腹に朱肉や墨をつけ、指紋を書類に押す行為です。
指紋は個人ごとに異なるため、印鑑の代わりに本人を証明できる手段として、拇印は古くから用いられてきました。
手元に印鑑がないとき・印鑑を忘れたときに、印鑑を使わずに押印できるのが特徴です。
ちなみに、拇印の「拇」は、親指の別名である「拇指(ぼし)」から来ており、その名の通り親指で押すのが基本です。
拇印の歴史は古く、紀元前6000年頃の中国や古代アッシリアでは粘土板上に押した拇印で個人認証を行っていたとされます。
日本では平安時代末期から例があり、昔から拇印の習慣が根付いています。
拇印と「指印」「爪印」「血判」の違い
拇印に似た言葉として、「指印(しいん)」「爪印(つめいん)」「血判(けっぱん)」があります。
簡単に言えば、拇印は親指、指印は親指以外の指や複数の指、爪印は爪先、血判は血液で押印することを指します。
拇印と指印は、朱肉やインクを使用して押す点では同じですが、使う指が異なります。
爪印は、指の腹ではなく爪で押印する行為で、主に江戸時代に印鑑を持たない庶民が用いました。
また、血判は血で非常に強い意志を表明するもので、江戸時代には幕府へ提出する公的な書状にも使用されていました。
ただし、道徳的な観点から、現代の公式文書で血判を使う例はほとんどありません。
違いを表にまとめると、下記のようになります。
| 種類 | 読み方 | 説明 | 現代の扱われ方 |
|---|---|---|---|
| 拇印 | ぼいん |
|
印鑑がない緊急時に用いられる |
| 指印 | しいん |
|
警察署での手続きなどで、任意で求められる |
| 爪印 | つめいん |
|
ほとんど行われない |
| 血判 | けっぱん |
|
ほとんど行われない |
拇印が使える書類・使えない書類
原則として、拇印はあくまでも非常手段や簡略な取引の場面にとどめるのが無難です。
ここでは、拇印が使える書類・使えない書類について解説します。
【拇印OK】借用書・示談書・念書など
私文書(個人間や社内でのやり取り)であれば、当事者同士の合意があれば拇印でも対応できます。
拇印が使える書類の例は、以下の通りです。
- 借用書、念書、誓約書
- 示談書、和解契約書(ただし、相手の合意が必要)
- 私製契約書(売買契約書など)
※自筆証書遺言への押印には拇印も認められていますが、遺言に関するトラブルの可能性を考慮すると実印が望ましいとされます。
【拇印NG】印鑑証明が必要な契約書・公的機関への提出書類
不動産取引や車の売買など、契約書に実印が求められる場合、拇印は原則として認められません。
また、公的機関に提出する書類も同様で、印鑑証明が必要な手続きには実印を用いる必要があります。
拇印が使えない書類・手続きの例は、以下の通りです。
- 印鑑証明が必要な契約(不動産売買、高額な取引など)
- 銀行との取引(特に大口取引や重要手続きなど)
- 公的機関への提出書類(市役所、法務局などへ提出する公文書)
印鑑証明が必要な契約には実印、銀行との取引には銀行印を用意しましょう。
市役所に提出する税金の申告書や運転免許の更新申請書などは認印でもOKですが、重要書類の場合は実印が求められるケースがあります。
拇印は「親指」で押すのが一般的
拇印は「親指(拇指)」を意味するため、親指で押印するのが一般的ですが、人差し指でも代用できます。
拇印に法律上の規定はないため、「必ずこの指を使うべき」などの指定はありません。
また、右利きの方は右の親指、左利きの方は左手の親指など、自分の利き手で選択してOKです。
※親指以外で押す方法は、指印と呼ばれる場合があります。
拇印の押し方のコツ
拇印を押すときは、指をまっすぐ下ろし、均一な力で押しつけます。
指をひねると指紋がにじんでしまうため、紙に押しつけた後はそのまま真上に離しましょう。
なお、朱肉を指につけすぎると指紋がつぶれてしまうため、少し薄めにするのがコツです。
拇印にはさまざまなリスクがある
拇印は印鑑なしで押印できるため利便性が高いですが、セキュリティや本人保証の面でデメリットがあります。
生体情報を複製される危険性がある
拇印は「一生変わらない個人情報」である指紋が直接写るため、生体情報が第三者に悪用されるリスクがあります。
万が一、書類に押された拇印の痕跡を第三者が不正に取得すると、指紋を偽造される可能性も否定できません。
近年はスマートフォンやパソコンのロック解除にも指紋認証が使われているため、拇印をむやみに残すのは避けた方がよいでしょう。
本人を証明するのが難しい
通常の印鑑と異なり、拇印は指にキズが付くと指紋の形が変わってしまいます。
押すタイミングによって拇印の形が変化するため、通常の印鑑に比べると「本人が押印した」という証明が難しくなります。
また、拇印を押した後に本人が亡くなった場合も、「これは本当に本人の指紋なのか」を証明するのは困難です。
実印であれば、印鑑証明で「本人が押印した」と公的に証明できますが、拇印は第三者が保証できないため、実印に比べて法的効力は弱くなります。
つまり、生体情報の流出リスクや法的効力を考えると、拇印ではなく印鑑で押印するのが最も安全といえるでしょう。
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よくある質問
- 契約書に拇印を押しても問題ない?
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何らかの事情で印鑑を用意できない場合は、緊急時の対応として契約書に拇印を押すケースもあります。
ただし、拇印はあくまで「内容に同意した」という本人の意思を補強する証拠にすぎません。将来的なトラブルの可能性を考えると、後から印鑑証明が必要になる場合も多く、拇印だけでは証明力に不安が残ります。
相手への信用を示すためにも、重要な契約には実印を押印するのがベストです。
- 朱肉の代わりに、スタンプ台で拇印を押してもいい?
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朱肉かスタンプ台かによって、拇印の法的な効力は変わりません。
ただし、スタンプ台は水性系インクが主流のため、劣化・変色への耐性が高い朱肉に比べると長期保存には不向きです。
契約書や誓約書など、法律で保管期間が定められている書類には朱肉を使うのがよいでしょう。
まとめ
拇印は、印鑑を持ち合わせていない場合に緊急時の手段として役立ちます。
ただし、拇印には原則として印鑑と同等の法的効力は期待できないうえに、指紋が偽造されるリスクや客観的な証拠力に疑問が残ります。
契約や手続きをスムーズに進めるためには、事前に印鑑を用意しておくのが最も確実でしょう。
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