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サンビーとシャチハタの違いを解説!インクや価格、耐久性を比較

職場やプライベートで使う浸透印(ネーム印)を選ぶとき、「サンビーとシャチハタって、結局何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
どちらも高い信頼性を持つブランドですが、インクの特性、ネーム印の印面サイズ、メーカーごとの得意分野には明確な違いがあります。

この記事では、サンビーとシャチハタの歴史やスペックの違いを、はんこ・スタンプ専門店の視点からわかりやすく解説します。
サンビーとシャチハタそれぞれの特徴を知り、機能と品質で妥協しない一本を選ぶための情報としてご活用ください。

【前提知識】「シャチハタ」と「浸透印」の関係

まずは「シャチハタ」と「浸透印」との違いを知っておきましょう。

「浸透印」とは、本体にインクが内蔵されたスタンプの総称で、スタンプ台を使わずに押印ができるはんこです。
この浸透印の代表的なブランドとして有名なのが「シヤチハタ株式会社」で、そのメーカー名から浸透印を「シャチハタ」と呼ぶ認識が世間に広まりました。
そのため、本来「シャチハタ」は「シヤチハタ株式会社」というメーカー名を指すのですが、現在では浸透印の代名詞として「シャチハタ」という言葉が多く使われています

つまり、「シャチハタ」という言葉には、「シヤチハタ株式会社」を指す場合と「浸透印全般」を指す場合の2パターンがあるのです。

実際には、サンビー株式会社をはじめ、他メーカーが開発・製造しているスタンプも「浸透印」に分類されます。

サンビーとシャチハタの強み・代表的な製品

次に、サンビー株式会社とシヤチハタ株式会社の概要です。
どちらも浸透印市場をリードするメーカーですが、それぞれが独自の強み・製品分野を持っています。

【サンビー株式会社】日付印・回転印で高いシェアを誇る老舗メーカー

サンビー株式会社は、1921年(大正10年)創業の印章用総合メーカーで、2021年度に創業100周年を迎えた老舗です。
社名の由来は、Best(より良く)・Benefit(より便利に)・Beauty(より美しく)という3つの理念の頭文字(アルファベットのB)にあり、その名の通り、細部まで考慮された機能性の高い製品が魅力です。
とくに「サンビーのスタンプはインクの出がスムーズで、印影(紙に残る朱肉の跡)が綺麗」という評判があり、好んで使用する方もいるようです。

また、サンビーは日付印回転印など、ビジネス・オフィス向けスタンプのジャンルで圧倒的な地位を築いています。
日付印の「テクノタッチデーター」に代表されるグリーンとアイボリーのカラーは、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。

近年は、女性や若者をターゲットにした商品展開に積極的で、作家とのコラボ商品や大人可愛いネーム印の「Camila(カミラ)」が人気を集めています。
また、女子文具ブランド『サンカケル』を立ち上げ、文具女子博への出店にも取り組むなど、個人向けの分野でも存在感を増しています

代表的な製品(クイック10、テクノタッチデーター)

サンビー株式会社の製品は、押しやすさ・長持ち設計で、ビジネスから個人用途まで幅広くそろっています。

クイック10

クイック10
認印に最適な、スタンプ台がいらないネーム印です。
高級感のあるゴールドリングが上品で、押し心地もしっとりとした軽さがあります。

テクノタッチデーター

テクノタッチデーター
サンビーを代表する回転式の日付印で、受領印や検査印として用いられています。
本体には高級ステンレスが使用されており、激しい使用に強く、汚れも簡単に拭き取れます。

クイックスタンパー

クイックスタンパー
丸型・角型、科目印、一行印など、用途に合わせて形を選べる浸透式スタンプです。
耐水・耐光性に優れた顔料系インクでにじみが少なく、印影も鮮やかです。

【シヤチハタ株式会社】浸透印を広めたリーディング企業

1925年(大正14年)に創業したシヤチハタ株式会社は、「浸透印=シャチハタ」というイメージを確立したパイオニア的存在です。
昭和40年(1965年)にスタンプ台不要の「Xスタンパー(X stamper)」を発売し、浸透印という新しいジャンルを世に広めました
また、ネーム9」は昭和61年(1986年)の発売以来ベストセラーとなっているネーム印で、2025年には創業100周年記念カラーのネーム9が発売されています。

その他、入学・就職祝いにはんこを贈るブームを生んだ「ネームペン」やワンタッチ式印鑑ホルダー「ハンコ・ベンリ」など、独創的な商品ラインナップも魅力です。
近年は「しるしの価値」を提供する会社として、インキの研究開発や電子印鑑事業、万博への出展など、幅広いフィールドではんこ・スタンプの魅力を発信し続けています。

ちなみに、「シヤチハタ」の社名は、創業の地である名古屋のシンボル“金のシャチホコ”に由来しています。
スタンプ台の製造販売をスタートした創業当時、商品のトレードマークとして旗の中央にシャチホコを描いたマークを用い、「鯱旗印(シヤチハタじるし)」の万年スタンプ台として販売しました。
この商標が、後に社名の「シヤチハタ」につながったのです。

※シヤチハタ株式会社の社名表記は、「シャチハタ」ではなく「シヤチハタ」です。

代表的な製品(ネーム9、Xスタンパー)

シヤチハタ株式会社の製品は、豊富な商品展開でカラーの選択肢も多く、個人・企業どちらも幅広くカバーしています。

ネーム9

ネーム9
日本で最も一般的な、ネーム印の定番商品です。
本体カラーも豊富&インキは交換が簡単なカートリッジ式のため、長く愛用できます。

Xスタンパー(X stamper)

Xスタンパー(X stamper)
ビジネススタンプの定番商品で、角型・丸型、一行印、住所印など種類も豊富です。
印面は耐久性に優れた特殊ゴムを使用しており、連続で押してもかすれのない印影が残せます。

ネームペン

ネームペン
ボールペンやシャーペンと、ネーム印が1本になった便利アイテムです。
キャップレスタイプや伝統ブランド「パーカー」とのコラボもあり、記念品・贈り物にも最適です。

【徹底比較】サンビーとシャチハタの違い

サンビーとシャチハタの入手のしやすさや価格、耐久性などを表にまとめました。
なお、以下の比較表および解説は、各メーカーの製品傾向・市場での評判・および弊社(当サイト運営元)の知見に基づいたものであり、どちらかの優劣を示すものではありません。

サンビー シャチハタ
入手のしやすさ
ネット通販がおすすめ
価格帯
インクの汎用性
耐久性
※押印寿命は約10万回(メーカー公式)
本体デザイン・
バリエーション

※人と被りにくい
ネーム印の印面サイズ クイック10
10mm(朱肉で押す認印に近いサイズ)
ネーム9
9.5mm(標準サイズ)

入手のしやすさ・価格帯

実店舗も含めて入手しやすいのはシャチハタ、比較的安く購入できるのはサンビーです。

シャチハタは圧倒的な流通量を誇り、ほとんどの文具店やはんこ専門店で取り扱いがあるため、手軽に購入できます。
サンビーは取り寄せが必要な店舗もありますが、最近ではネット通販を利用すればスムーズに手に入ります。

価格帯は製品の種類によって変わりますが、シャチハタに比べてサンビーはコストを抑えたモデルが多くなっています

インクの特徴・補充方法

インクの手に入れやすさを優先するならシャチハタ、一種類のインクで複数の商品をカバーするならサンビーがおすすめです。
また、サンビーのスタンプはインクの出が良く、印影が美しいという評価もあるようです。

シャチハタは市場シェアが高いため、補充インクも全国のはんこ屋さんや文房具店で比較的簡単に手に入ります
ただし、商品ごとに専用インクが分かれているため、インクの購入時には必ず型番を確認するようにしましょう。

サンビーは取り扱いのある店舗でも、インクは取り寄せ対応になるケースがあるようです。
一方で、サンビーは同じ補充インクでカバーできる商品数が多いため、商品ごとにインクを購入する手間が減らせます
最寄りの販売店でサンビーのインクが手に入らない場合は、サンビー専門のネット通販がおすすめです。

サンビー・シャチハタのインクの補充方法は、下記ページをご覧ください。

本体の耐久性

サンビー・シャチハタはどちらも堅牢な本体設計のため、耐久性に大きな差はないでしょう。

ちなみに、シヤチハタ株式会社は、自社の見解として押印寿命は約10万回、年数にして約7年~10年程度使用できるとしています。
サンビー株式会社も、オフィス用品メーカーとして耐久性の高い回転印を手がけているため、十分な信頼性があるといえます。

本体デザイン・バリエーション

シャチハタはネーム9を筆頭に、多彩なカラーや着せ替えパーツを展開しているため、個性を出したい方にピッタリです。
サンビーは落ち着いたデザインが多い傾向ですが、キャラクター印や作家とのコラボデザインなど、個性を重視した製品にも強みを持っています。

シャチハタの普及率が高いだけに、「できるだけ人と被らないスタンプが欲しい」という方は、サンビーを選択肢に入れてみましょう

ネーム印(認印)の印面サイズ

いわゆる「シャチハタ」と呼ばれるネーム印は、シャチハタのネーム9が定番ですが、サンビーならクイック10が該当します。
ネーム9とクイック10は印面のサイズが異なっており、ネーム9は直径9.5mm・クイック10は直径10mmです。

世間で多く使われている「シャチハタ」はネーム9ですので、標準的なサイズが欲しい方はネーム9がよいでしょう。
クイック10はネーム9より少し大きめですが、これは朱肉を使う認印のサイズ(10.5mm)に近いため、認印として通常の印鑑と同じようなサイズが良い方におすすめです。

結局のところ、ネーム9・クイック10のどちらも「シャチハタ(浸透印)」ですので、お好みで選んでOKです。

クイック10(サンビー) ネーム9(シャチハタ)
クイック10(サンビー) ネーム9(シャチハタ)

【重要】サンビーとシャチハタのインクに互換性はない

サンビーとシャチハタはそれぞれ専用のインクを採用しており、メーカー間での互換性はありません
そのため、違うメーカーのインクを補充すると印面が目詰まりし、正常に押せなくなる恐れがあります
スタンプを長く使用するためにも、必ず製品に合った専用インクを補充するようにしてください。

また、同じメーカーでも商品ごとに専用インクが異なりますので、購入前・補充前に必ずチェックするようにしましょう

サンビーとシャチハタ、結局どちらを選ぶべき?

サンビー株式会社・シヤチハタ株式会社のどちらも長年の実績と高い技術力を誇るメーカーですので、基本性能・品質に大きな差はありません。

「誰もが知る定番」「一般的に広く使われる安心感」を重視するなら、シャチハタがおすすめです。
「日付印など、実務・ビジネスシーンに強い」「印影の美しさ」を重視するなら、サンビーがよいでしょう。

ご自身の用途やサイズ・デザインの好みを基準に、お好きなメーカーを選んでください。

まとめ:シーンや用途に合わせて選ぼう

サンビー株式会社・シヤチハタ株式会社は、どちらも創業100年以上の歴史と高い技術力を持つ、日本の浸透印市場を支える二大メーカーです。
両メーカーとも優れた製品を販売しているため、どちらを選んでも満足度の高い使い心地が得られるでしょう。

両方のアイテムを見比べながら、ぜひ目的・好みに合ったスタンプを選んでみてください。